松山 智道

松山 智道 特任講師

【研究室】

図書館3階 仏教教育研究センター内

【専門分野】

真宗学

【担当科目】

人生と仏教、スタートアップゼミナール、ゼミナールII-A、ゼミナールI、ゼミナールII-B、仏教保育

【略歴】

龍谷大学文学部仏教学科真宗学専攻卒業、龍谷大学大学院文学研究科修士課程修了、龍谷大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学

【学位】

修士(文学)

【保有資格】

中学校教諭専修(宗教)、高等学校教諭専修(宗教)、中学校教諭一級(国語)、高等学校教諭二級(国語)、真宗高田派教師


人として生きる意味を共に考えましょう

学ぶことは変わること

 東洋大学が主催する「現代学生百人一首」に「『本読んで』かわいく幼いお願いが 『何て読むの?』に変わった五歳」(高校2年)という歌がありました。成長するということは変わっていくことでもあります。また「一歩ずつ大人になっていくたびに 母の涙に気付いてしまう」(高校1年)、「『大丈夫』とにじむ涙をかくす母 もっと私を頼っていいよ」(高校3年)、「私には人を助けたい夢がある 役に立つ『手』になれるだろうか」(高校3年)という歌もありました。内面的豊かさ、つまり心の成長を遂げることが人間としての本当に大切な学びだと教えられます。

 「学んだことの証しは、ただ一つで、何かがかわることである」、これは林竹二先生(宮城教育大学元学長)の言葉ですが、私の恩師である信楽峻麿先生(龍谷大学元学長)は「今までの自分の古い殻を脱ぎながら、本当の自分に育っていくという、こういう方向の中に人間成長を遂げていくことを教えるものが仏教です」(NHK「こころの時代」)と言われています。

 そして、年齢に関係なく、生涯学び続けていけるのが仏教であります。私自身も仏教に生きる意味を学び、心豊かな人生を歩んでいきたいと願っています。

金剛心と柔軟心

 仏教を学ばれた相田みつをさんは、「そんかとくか 人間のものさし うそかまことか 佛さまのものさし」と言われました。

 私の日常生活を振り返ってみますと、「自分の都合というものさし」で、人や物事の善悪をを判断しています。この「自分の都合というものさし」を相田さんは「人間のものさし」と言われ、これが仏教で教えていただく「煩悩(ぼんのう)」であります。

 また相田さんは「あのときの あの苦しみも あのときの あの悲しみも みんな肥料に なったんだなあ じぶんが自分に なるための」とも言われています。苦しみや悲しみという「自分に都合が悪いこと」を、相田さんは自分を成長させてくれた「肥料」であったと受けとめておられます。

 これが相田さんが学ばれた「仏さまのものさし」なのでしょう。

 この「仏さまのものさし」をいただいた心を、仏教では「金剛心(こんごうしん)」とも「柔軟心(にゅうなんしん)」とも言います。ダイヤモンドを「金剛石」とも言いますが、「金剛」とはどんなことにも壊れない硬(かた)くて強(つよ)いものをあらわす言葉です。

 ですから、「金剛」と「柔軟」とはまったく別の言葉のように思いますが、「金剛心」と「柔軟心」とはまったく同じ一つの心なのです。

 私が尊敬する星野富弘さんは、「いつか草が 風に揺れるのを見て 弱さを思った 今日 草が風に揺れるのを見て 強さを知った」と言われていますが、本当の強さがあるからこそ、本当の柔らかさがあるからこそ、どんな風も受けとめることができるのでしょう。

 さらに星野富弘さんの言葉には「母の手は 菊の花に似ている 固く握りしめ それでいてやわらかな 母の手は 菊の花に似ている」というものもありました。この言葉から私は「現代学生百人一首」にあった「おにぎりを作る母の手見て思う 私はこの手に守られてきたと」(高校2年)の歌を思い出します。子どもの喜ぶ顔を思いながら、時にはしっかりと握り、時にはやさしく握る手。その温かな手に包まれ守られながらも、自分の都合しか考えず、時には反抗していたのがこの私。

 「現代学生百人一首」には「叱られてこもりし部屋の白壁の わが蹴りし跡の消えぬかなしみ」(高校3年)という歌もありましたが、反抗する私を温かな心(「金剛心」「柔軟心」)で受けとめてくれていた人(あるいは仏さま)がいたんだと気づく時、申し訳ないという気持ちとともに、本当の喜びや本当の安らぎが実感できるのではないでしょうか。

 「自分のものさし」で一喜一憂しているのが私です。そんな私に気付かしてくれる「仏さまのものさし」を学び、その「仏さまのものさし」の中で生きていけるような私でありたいと思います。

この上でマウスを長押し - パーツの追加・変更・削除・移動

主な経歴・研究業績

●経歴

 ・昭和63年4月~平成28年3月 高田中高等学校教員(仏教科担当、および人権教育係、教育実習係、仏教行事係、広報誌係等も担当)、高田短期大学仏教教育研究センター研究員、真宗高田派教学院研究員

●著書・学術論文等

〈共著〉

 ・『浄土真宗と現代』(文理閣)「親鸞における『不思議』の意義」

 ・『浄土真宗と教育』(文理閣)「人間を育てる教育―真宗者の立場から―」

〈論文〉

 ・「求道心」(1984年 高田学報)

 ・「獲信の構造」(1988年 龍谷大学大学院研究紀要)

 ・「三願転入の構造と意義」(1990年 真宗研究)

 ・「親鸞における転成思想の社会性」(1997年 真宗研究)

 ・「親鸞における転成思想の意義」(1998年 印度學佛教學研究)

 ・「真慧上人の往生思想―その教義的立場と問題点」(2001年 真宗研究)

 ・「親鸞における信心と自然」(2002年 日本仏教学会年報)

 ・「親鸞聖人の教化観―人間教育の本来性を求めて」(2002年 東海仏教)

 ・「親鸞聖人における浄穢観と『ケガレ・キヨメ』意識」(2007年 教學院紀要)

 ・「『真俗二諦論』と親鸞聖人の信心」(2009年 教學院紀要)

 ・「三願転入と二河譬」(2013年 高田学報)

 ・「仏教教育の意義 親鸞における三宝観の考察」(2017年 高田短期大学紀要)

●所属学会

 ・高田学会(委員)、真宗連合学会(理事)、日本仏教学会、日本印度学仏教学会(理事)、東海印度学仏教学会

●講師を担当した講座および研修会

 ・高田短期大学仏教教育研究センター「公開講座」「入門講座」「基礎講座」「専門講座」

 ・「真宗高田派教師検定講習」における人権研修

 ・「真宗高田派仏教文化講座」

 ・「真宗高田派檀信徒研修会」

 ・「真宗高田派仏教保育研修会」

 ・「公立中学校出前授業」

 ・「家庭教育支援セミナー」(津市)